憧れではなく戦略的に会社を利用してみませんか。Ⅷ

~ 法人経営のメリット お金のメリット⑤ ~

配偶者控除や扶養控除の適用により節税ができます。

 所得税の所得控除である配偶者控除や扶養控除の適用要件は、年間所得が38万円以下の扶養親族(生計を同じにする親族)や配偶者となっています。
 しかし、家族などの事業専従者に給与を支払ったときは、その事業専従者の給与が、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が38万円以下であっても、個人事業主の所得税額の計算において、配偶者控除や扶養控除の適用が認められません。

 そこで、個人事業を法人にすると。
給与の支払者は、個人事業主から法人へ変わり、事業専従者への給与は、個人事業主からではなく法人から支払われることになります。

 その結果、経営者の所得税の計算について、経営者の扶養親族や配偶者は、配偶者控除や扶養控除の適用除外でなくなり、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が38万円以下であれば、配偶者控除や扶養控除の適用が認められます。

最高税率の違いにより節税ができます。

 個人事業主と法人にかかる税金について、最も高い税率を比較してみると。

 個人事業主にかかる税金は、所得税、個人住民税と個人事業税です。
 それぞれの最高税率は、所得税は45%、個人住民税は10%、個人事業税は業種によって適用税率が異なりますが、一般的な業種で 5%となっています。

【個人事業主の最高税率の計算】
税 目 =所得税+個人住民税+個人事業税
最高税率=40%+10%+ 5%
    =55%

 法人にかかる税金は、法人税、地方法人税、法人府民税、法人市民税、法人事業税と地方法人特別税です。
 それぞれの最高税率は、法人の資本金によって適用税率が異なりますが、中小企業では、法人税は23.4%、地方法人税は1.03%、法人府民税は0.75%、法人市民税は2.27%、事業税は6.7%、地方法人税は2.89%となっています。

【法人の最高税率の計算】
税 目 =法人税+地方法人税+法人府民税+法人市民税+事業税+地方法人特別税
最高税率=23.4%+1.03%+0.75%+2.27%+6.7%+2.89%
    =約37.04%

 個人事業主の最高税率は、55%と法人の最高税率の約37%に比べて高くなっており、最高税率適用時の税負担が重くなります。

 そこで、個人事業を法人にすると。
個人事業主の最高税率55%の高い税率の適用から、法人の最高税率約37%の低い税率に引き下げることができます。

 その結果、支払うお金が減額され、支払わなかったお金を事業資金として、有効に活用できるようになります。

事業税を非課税にして節税ができます。

 事業税は、個人事業や法人を問わず一定の事業(医療法人などを除く)を行っている者に対して、その事業所得や利益について課税されます。
 ただし、赤字であれば事業税は課税されません。

【事業税の課税要件】
個人事業 事業収入―必要経費―290万円≧0円
法人経営 収入―経費≧0円

 個人事業主が事業税を課税されないということは、個人事業について課税所得が発生していないことであり、それは事業を継続するうえであまり好ましくないことなので、個人事業主の多くが、事業税を課税されていると考えられます。

 そこで、個人事業を法人にすると。
事業を行っている者が、個人事業主から法人に変わり、経営者は個人で事業を行っている者に該当しなくなるので、経営者に事業税が課税されなくなり、事業税を回避することができます。

 ただし、法人が、事業を行っている者になりますので、法人に利益が発生したときは、法人に事業税が課税されることになります。法人に事業税が、課税されないようにするためには、法人の利益を給与などにより調整して、法人の利益が発生しないようにする必要があります。

消費税の納税義務が最大2年間免除されます。

 事業年度(課税期間)について、消費税の納税義務が、有るか無いかは、2年前の期間(基準期間)の課税売上高により判定します。

【消費税の納税義務の判定】

期 間 課税売上高 基準期間 判定
第1期  500万円 なし 納税義務なし
第2期  700万円 なし 納税義務なし
第3期 2000万円 第1期
500万円≦1000万円
納税義務なし
第4期 1500万円 第2期
700万円≦1000万円
納税義務なし
第5期  300万円 第3期
2000万円>1000万円
納税義務あり
第6期 1500万円 第4期
1500万円>1000万円
納税義務あり
第7期 2000万円 第5期
300万円≦1000万円
納税義務なし
第8期 2500万円 第6期
1500万円>1000万円
納税義務あり


 このように基準期間における課税売上高が、1000万円を超えていると消費税の納税義務者となり、その課税期間の課税売上高について計算された消費税を納めなければなりません。
 しかし、基準期間の課税売上高が1000万円以下であれば、消費税の納税義務は無いので、売上代金といっしょに預かった消費税は、納める必要がなくなり事業者の収入となります。

 そこで、個人事業を法人にすると。
法人の設立前の期間については、法人として活動を行っていないので、法人の第1期の基準期間の課税売上高はゼロ(1000万円以下)となり、消費税を納める義務がなくなります。

 この規定の適用は、法人の資本金が1000万円未満のときだけであり、資本金が1000万円以上のときは、第1期から納税義務があります。
 また、資本金が1000万円未満であっても、第1期の売上が一定額以上になったときは、第2期は納税義務ありになります。